慰謝料・賠償金|内訳と相場を解説!加害者側の提示額は適切ですか?

2020/02/06

交通事故でもらえる慰謝料・賠償金の種類は?

慰謝料・賠償金はどれくらいもらえるもの?

加害者側から提示された金額は適切?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

この記事では、
・交通事故の慰謝料・賠償金の内訳
・加害者側が提示する相場金額
・弁護士を立てた場合に主張できる相場金額
をご紹介しています。ぜひご確認ください。

交通事故の慰謝料・賠償金の内訳

交通事故の慰謝料・賠償金は、①けがに関するもの②物損に関するもの③死亡に関するものの3つにわけることができます。それぞれ確認していきましょう。

①けがに関するもの

けがに関する慰謝料・賠償金は、以下のようになります。

治療関係費治療費、入院費、看護料、通院のための交通費など
診断書作成費等診断書を作成するための費用
休業損害治療のため休業せざるを得なかった間の収入に対する補償
傷害慰謝料通院や治療によって受けた精神的苦痛に対する補償

休業損害は、主婦アルバイトをしている学生の方でも請求することができます。また、事故によるけがのために退職せざるを得なかった方にも認められる場合があります。
▶休業損害についてさらにくわしく

けがが後遺症として残り、後遺障害等級が認定された場合は、以下の項目も加害者側に請求できます。
▶後遺障害等級認定の申請についてさらにくわしく

後遺障害慰謝料後遺障害が残ったことで今後も受け続ける精神的苦痛に対する補償
後遺障害逸失利益後遺障害が労働能力に支障をきたすことで得られなくなった将来の収入に対する補償

この他にも、交通事故でけがをしたことで生じた損害があれば、加害者側に損害賠償請求できる可能性があります。
たとえば、事故によるけがで留年してしまった学生の学費などです。

 

上の表に載っていない損害でも、加害者側に請求してみる価値はあるということですね。

そういうことになります。 ただし、それらは例外的なものとみなされがちです。そのため、弁護士による請求でないと加害者側が支払いを認めない可能性が高いです。

②物損に関するもの

交通事故によって壊れたものに関する補償は、以下のようになります。

修理費車の修理費など
評価損事故によって車の価値が下がった場合などの補償
代車費用修理中の代車費用
休車費用車を修理に出すことで生じた業務上の損害に対する補償
積載物の損害ペットも含まれる

物損に関する補償で特徴的なのは、慰謝料(精神的苦痛に対する補償)がないということです。

 

大切な愛車やペットが傷ついたら精神的苦痛を受けるはずなのに…。

交通事故で補償が認められる精神的苦痛は、「人の身体が損傷したことで生じるもの」だけなんです。 そのため、残念ですが物やペットが傷ついたことによる精神的苦痛に対する補償は、原則認められません。

③死亡に関するもの

被害者の方が死亡してしまった場合の慰謝料・賠償金は、以下のようになります。

死亡慰謝料死亡した被害者やその遺族の精神的苦痛に対する補償
死亡逸失利益死亡したことで得られなくなった将来の収入に対する補償
葬祭費通夜・葬儀の費用、墓石の費用、位牌の費用など

死亡事故の場合は、被害者ご本人は亡くなっているので、加害者に対する損害賠償請求はご遺族が行うことになります。

 

死亡慰謝料や死亡逸失利益を受け取るのも遺族ってことですよね。相続税がかかることはないのですか?

死亡事故に限らず、加害者側から支払われる慰謝料・賠償金に税金がかかることは基本的にありません。 ただし、示談交渉開始後に被害者が亡くなった場合は、相続税がかかります。

慰謝料・賠償金の相場・計算方法

慰謝料・賠償金額は示談交渉で決まる

交通事故の慰謝料・賠償金は、基本的に加害者側任意保険会社との示談交渉で決められます。そのため、似たような事故でも交渉次第で金額が大きく変わる可能性があります。

ここからは、示談交渉で加害者側が提示してくる金額の相場、示談交渉を弁護士に依頼した場合に被害者側が提示できる金額の相場をご紹介します。
▶示談交渉についてさらにくわしく

加害者側が提示してくる金額相場

加害者側任意保険会社の慰謝料・賠償金額の算定基準は、各社で異なり非公開ですので、ここでご紹介することはできません。

ただし、一般的に「自賠責保険基準」と呼ばれる金額基準と同じくらいか、少し上乗せした程度と言われています。そのためここでは、自賠責保険基準の金額をご紹介していきます。

 

自賠責保険基準とは、交通事故の被害者に保証された最低限の慰謝料・賠償金額です。この金額基準は、国によって決められています。

自賠責基準による慰謝料・賠償金の相場は以下のようになります。


▼休業損害

休業損害
5700円×休業日数

▼後遺障害慰謝料

等級後遺障害慰謝料 (万円)
1100
2958
3829
4712
5599
6498
7409
8324
9245
10187
11135
2393
1357
1432

▼後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益
収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数

▼死亡慰謝料

死亡慰謝料
本人分350万円
遺族分1人:550万円
2人:650万円
3人以上:750万人以上
※扶養家族がいる場合は+200万円

▼死亡逸失利益

死亡逸失利益
死亡逸失利益=年収×(1‐生活費控除率)×死亡により就労できなくなった年数に対するライプニッツ係数

弁護士が主張できる金額相場

示談交渉を弁護士に依頼した場合、被害者側は「弁護士基準」と呼ばれる金額の慰謝料・賠償金を主張できます。この金額は加害者側が提示してくる金額よりも大幅に高いことがほとんどです。
また、過去の判例をもとに定められた金額基準ですので、妥当性の高い金額であると言えます。


▼休業損害

休業損害
算定基礎日額×実休業日数
▷給与所得者の日額:事故前3ヵ月の収入÷実稼働日数
▷自営業者の日額:事故前年の年収÷実稼働日数

▼傷害慰謝料
▽軽傷の場合

通院月数通院慰謝料(万円)
119
236
353
467
579
689

▽重症の場合

通院1ヶ月
・入院なし:28万円
・入院1ヶ月:77万円
・入院3ヶ月:162万円
・入院6ヶ月:252万円
通院3ヶ月
・入院なし:73万円
・入院1ヶ月:115万円
・入院3ヶ月:188万円
・入院6ヶ月:267万円
通院6ヶ月
・入院なし:116万円
・入院1ヶ月:149万円
・入院3ヶ月:211万円
・入院6ヶ月:282万円

▼後遺障害慰謝料

等級後遺障害慰謝料(万円)
12800
22370
31990
41670
51400
61180
71000
8830
9690
10550
11420
12290
13180
14110

▼後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益
死亡逸失利益=年収×(1‐生活費控除率)×死亡により就労できなくなった年数に対するライプニッツ係数
※自賠責基準と同じ計算式ですが、加害者側任意保険会社は労働能力喪失率を低めに見積もる傾向にあります。

 

弁護士基準の金額は、弁護士に示談交渉してもらわないと主張できないのですか?

「弁護士基準」と言うだけあって、弁護士が主張しなければ加害者側任意保険会社に受け入れられにくいです。 「交渉人が弁護士である」ということが被害者側の主張を通りやすくするという側面もあるので、示談交渉は弁護士に依頼することがお勧めです。

弁護士への相談・依頼は、無料相談の利用や弁護士費用特約の利用によって実質無料にすることも可能ですので、ぜひご確認ください。

▶弁護士費用特約についてさらにくわしく

交通事故の関連記事