通院頻度と病院選び・転院のポイント|慰謝料・治療費減額を防ぐために

2020/02/07

加害者側の治療費負担が打ち切られることがあるって本当?

通院頻度が低いことで慰謝料が減ることはある?

整骨院への通院で注意することはある?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

この記事では、通院頻度が低いことで生じる可能性のあるデメリットと、病院選び・転院のポイントについて解説しています。
どちらも慰謝料金額に関係することですので、ぜひご確認ください。

通院時の注意点①通院頻度

通院頻度が低いと治療費が打ち切られる

交通事故の治療費は、治療と並行して加害者側任意保険会社が支払ってくれることが多いです。しかし、必ずしも治療終了まで全額支払ってもらえるとは限りません。途中で打ち切りを打診されることもあります。

加害者側任意保険会社は、被害者の担当医に治療状況を確認してから治療費打ち切りを打診することが多いようです。そのため、まだ治療が必要であることが明らかなのに、「これ以上治療費は払いません」と言われる可能性は低いでしょう。

ただし、
・通院頻度が低い
・湿布や薬を処方してもらうだけの通院が続いている
という場合は、たとえまだ治療が必要な状態でも、治療費打ち切りを打診される可能性があります。

 

通院頻度が低かったり内容が薄かったりすると、もう「絶対に治療が必要」というわけではなさそう、と判断されてしまいますもんね…。

そうなんです。「通院状況から見てもまだ治療が必要そうだ」と思ってもらうためにも、たとえ忙しくても月に1回以上は通院するようにしてください。

通院頻度が低いと慰謝料が減る

通院頻度が低いと、
・傷害慰謝料
・後遺障害慰謝料
の金額に影響が出る可能性があります。
▶交通事故の慰謝料・賠償金についてさらにくわしく

傷害慰謝料は、通院期間や入院期間をもとに金額が決められます。そのため、通院頻度が低いことで治療費を打ち切られ、治療を終了してしまうと、その分金額が下がってしまいます。


また、通院頻度が低いと「治療に対する意欲が低い」と判断される可能性があります。そうすると、「治療に対する意欲が高ければもっと早くけがが治っていたはずだ」として、傷害慰謝料が減額されてしまうかもしれません。

傷害慰謝料への影響
通院頻度が低いことで治療費が打ち切られ、治療を終える→治療期間が短くなることで傷害慰謝料も少なくなる
通院頻度が低いことで治療への意欲が低いと判断される→傷害慰謝料が減額される

後遺傷害慰謝料は、後遺障害等級に応じて金額が決められます。
しかし、通院頻度が低いために治療費を打ち切られて治療を終了した場合、後遺障害等級が認定されない可能性が高くなります。後遺障害等級は、「十分に治療をしたが治りきらなかった症状」に対して認定されるものだからです。
▶後遺障害等級認定の申請についてさらにくわしく


後遺障害等級が認定されないと、そもそも後遺障害慰謝料の請求自体ができません。

後遺傷害慰謝料への影響
①通院頻度が低いことで治療費が打ち切られ、治療を終える→②後遺障害等級が認定されない→③後遺障害慰謝料を請求できない

結局、どれくらいの頻度で通院するべき?

結局のところ、どれくらいの頻度で通院するべきなのでしょうか?

最低でも月に1回は通院してください。ただ、それでも通院頻度が低いと判断される可能性があります。そのため、月に10回以上通院することが望ましいです。

通院時の注意点②病院選び

病院を選ぶ際のポイント

通院先を選ぶ場合は、
・通いやすい場所にあること
・交通事故・後遺障害等級認定に理解のある医師であること
がポイントです。

上でもご説明した通り、交通事故の通院では頻度も大切です。そのため、無理なく通える場所にあるということがポイントです。

また、交通事故による通院である場合、医師には治療以外にも様々なことに協力してもらうことになります。しかし医師や病院の方針によっては、治療以外で交通事故案件に関わることに消極的であることも少なくありません。


医師が協力的であるかどうかは、慰謝料や示談交渉にも影響してきます。事前に交通事故の被害者に協力的であるかを確認しておくことも重要です。

医師に協力してもらうこと(必須)
治療
保険会社に提出する診断書の作成
医師に協力してもらうこと(場合による)
後遺障害診断書の作成
加害者側保険会社や後遺障害等級認定の審査機関からの問い合わせに対する回答
後遺障害等級認定や示談交渉で用いる意見書の作成
裁判への協力

整骨院通院の注意点

整骨院の方が通いやすいのですが、問題ないですか?

整骨院への通院の場合、治療費や慰謝料に関して被害者側に不利益が生じる可能性があります。必ず病院の医師の許可を得てから通ってください。

交通事故の治療で整骨院に通った場合、
・治療費を加害者側に負担してもらえない
・傷害慰謝料がもらえない、減額される
・後遺障害等級認定を受けられない
ということが考えられます。

加害者が支払う治療費や傷害慰謝料は、基本的に「病院での」治療・通院を対象としています。しかし整骨院は、厳密には病院ではないのです。

また、整骨院の先生は医師ではなく柔道整復師です。そのため、医師でないと作成できない後遺障害診断書を作成できません。後遺障害診断書がないと後遺障害等級認定を受けられないので、後遺傷害慰謝料ももらえなくなってしまいます。

整骨院に通いたい場合は、
・必ず病院の医師の許可を得たうえで通う
・整骨院に通いつつも月に1回以上は病院にも通う
ということが大切です。

 

医師の許可を得て、月に1回以上は病院にも通院すれば、安心ということですか?

そうとは言い切れません。医師の許可を得ていても病院にも通っていても、整骨院通院を理由に慰謝料を減額される可能性はありますので、弁護士に相談することをおすすめします。

▶弁護士への相談・依頼が実質無料になる方法

転院したい場合の注意点

通院開始後に転院したくなった場合、転院はできますか?

転院は可能です。 転院したい場合は、できるだけ早い段階で転院することをおすすめします。

転院したい場合は、加害者側任意保険会社にその旨を伝えたうえで転院してください。

ただし、治療後半で転院したり、何度も転院を繰返したりすると、治療開始~終了までの過程を把握している医師がいなくなります。その結果、後遺症が残っても後遺障害診断書を書いてもらえない可能性がありますので注意してください。

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